飛んで行け

何かすごいものが作れそうな予感がして、身震いしながら作業場に向かうも
結局思い過ごしでそんなものは出来ない

全く形も素材もイメージはないのにすごいものが作れそうって考えが甘すぎる

もっと輪郭だけでも掴まないと形にまで持っていけない


でも予感は大事だ


何かに引っ張られているのも確かだ



違う世界の何者かがきっと手を子招いている



5年後には家具を作っているかもしれないし

10年後には絵を描いてるかもしれない



それが自分ならなんでもいいと思っている


今、作っているものにこだわりはあるけれど執着はない


たまたまだと思っている


それが必然だなんて思い込みだ


今、ここにいて、こんな場所で、全てが偶然



ほんと、全部、たまたま



たまたま生み出された自分の作品が誰かの喜びや楽しみに変わるなんて
人生捨てたもんじゃない


いまだに他人から褒められてもどこか実感に乏しい

それは自分を作家だと思ったこともあまりないし
作ったその場で作品は自分の意識から外すようにしているからかもしれない


でも責任はちゃんと負う

誰かの家で自分の作品が飾られているのを写真で見ると
なんとも言えない不思議な感じになる


嬉しいより不思議


ああ、もっとあそこをこうしてあの部分はあれじゃダメで、、、

と申し訳ない気にさえなる



でも気に入ってもらえてたらそれが1番


自分の気持ちなどどこ吹く風になればいいのだ


ものにそれぞれの魂が宿って、自分の知らないところに飛んでいく


それでいいじゃないか