朽ち果てゆく

朽ち果てゆくものの片鱗をそっと掬い上げ、その美しさの時間を止めることができればどんなに素晴らしいことだろう


大袈裟に言うと、こんな事を思いながら作っている


自分が見つけたことによって、朽ち果てゆくものはその形を留める

それが良いか悪いかなんて話ではない

朽ち果て、土に還り、誰にも拾われずひっそりこの世から姿を消す事は何ら悪いことではない


自分の都合で拾い上げ、形を留めたいだけなのだ

そこに勝手に美しさを感じ、価値を付け眺める


残欠の原型を想像し、歴史と自然の積み重ねを感じる事が出来るのは人間だけの特権だ

その特権を使って、思い思いの想像する風景を見出してもらえたら、自分の作品、その素材たちは幸せだ